2009年5月15日金曜日

経済学を学んでいる人へのコメント

出典:長沼伸一郎著 現代経済学の直観的方法


経済学を学んでいる人へのコメント
 なおここで経済学を学んでいる人のために一言つけ加えておくと、今までの話というのはマクロ経済学の基本であるとともに最もわかりにくい部分に相当する。それは「投資と貯蓄は一致する」ということ、あるいは

  Y(国民所得)=C(消費)+I(投資)

という式に関する部分である。
 大体、投資と貯蓄が一致するなどと言われても、はじめのうちはどうもぴんと来ないものであり、ここでつまづいて挫折してしまう人が意外に多い。しかし何のことはない、そのメカニズムは実は電車に乗る金貨の流れの話そのものなのである。
 具体的にこのY=C+Iということを、前の図の中にはめ込んでみると、それは次のようになる。
 この場合、線路を下る100万の金貨が国民所得Yに相当し、またそのうちの90万の部分が消費C、10万の部分が投資Iだということになる。
 このメカニズムそのものは、このように金貨の流れをたどっていけば容易に理解できるだろうが、もう一つ理解の障害になるのは、貯蓄という日常的な行為と投資という途方もない行為との感覚的なギャップである。
 そしてそれは、もともと資本主義というものが本質的にカンフル剤の連続的な投与によってのみ維持されるようなとんでもないメカニズムであるということ、そして貯蓄という行為が経済社会に貧血か超高血圧かの二者択一を強いる、これまたとんでもない代物であるという、かなり驚くべき事実を認識することによって円滑に理解されていくのである。
 マクロ経済学の場合、とにかく最初にここでつまづくケースが非常に多いが、逆に言えばそれは、ある意味でこれこそが資本主義のメカニズムの最大の中枢部分だということでもある。それゆえ読者はここまでのことが理解できたならば、もうそれだけですでに経済のメカニズムを理解するという点で、昨日に比べて長足の進歩を遂げていると思って差し支えないであろう。
Y(国民所得)=C(消費)+I(投資)

「無敵の読者」である私は一行目を読んだ瞬間、全てが変わった。頭の奥まで響いてくる言葉の数々に圧倒され、また、感動した。学校では絶対に教えてもらうことのできない経済学だった。解り易く具体的な例と解説が大好きだ。私はこの書のおかげで、経済のメカニズムを理解する点で進歩できた、と思う。
最後になりましたが、私に希望を与えて下さった本書と著者に感謝いたします。
ありがとうございました。


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